値下がりすれば、オプションを放棄すればいいだけだ。
オプションは便利な取引ではあるのだが、喜んでばかりもいられない。
オプションを現実の世界で有効に利用するためにしなければならない最初の行為は、オプションの「購入」である。
当たり前のことだが、購入しないことには何もできない。
宝くじが買わなきゃ当たらないのと同じことだ。
購入するためには対価を支払わねばならない。
すなわちオプションの価格というものと対時しなければならないのだ。
オプションっていくらで売っているのであろうかという素朴な疑問から、果たして提示されている価格は適正なのかという高度な疑問まで、価格にまつわる問題点はさまざまに生ずる。
ブラック・ショールズ式で価格は出るが……日々の暮らしのなかで、われわれは自然にモノの価格に対して自分なりの基準を持っている。
生ビールのジョッキが350円。
安いところだと280円。
ハンバーガーは59円。
焼き鳥1本が120円(これにはかなりバラツキがある)。
屋台のチヤーシュー麺は750円。
タマゴをつけると850円などの基準値が存在する。
「焼き鳥1本500円」とか「ラーメン1杯2000円」とか言われると、即座に「高い!」とか「気取るんじゃない」とか思う。
基準値からの飛離が大きい分だけ拒絶反応を起こすようにできているのだ。
価格の基準値は、日頃、慣れ親しんでいるモノに対して生じる。
ビールも焼き鳥もわれわれサラリーマンには親しい仲だ。しかし、オプションはそうではない。
慣れてもいないし、親しくもない。
そんなモノの価格は見当もつかないのだ。
オプションの価格を求める方法は簡単である。
ブラック・ショールズ式に必要項目を代入すればいいだけだ。
式の意味はサッパリわからなくても、ともかくパソコンや電卓(ちょっと値が張るもの)で計算できるのである。
ただし、答えは出るが「なぜ」この価格になるのかはわからない。
短期金利とか株価の変動(ボラテイリティ)とかを代入すれば答えは出てくるが、「ふうん!」ってなものである。
オプションとは、株式や債券の価格変動リスクを軽減するための保証のようなものである。
保証を売買するからには、どれぐらいの価格変動が起きそうなのか、予想することが必要だ。
ところが、これが難しい。
例えば「100円の株式が1カ月後にいくらになっているか」という問いかけに対しては、無数の答えが存在する。
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